復旧不定期日誌112, [Lab]: 故障予測 パート11 (突然読み込めなくなったHDDを考える2)

いつも大変お世話になっております。
データ復旧担当(現:故障予測)の矢野と申します。

故障予測 パート11 (突然読み込めなくなったHDDを考える2)

前回は一般的な物理障害から、見えていた各セクタが突然なくなる点より、
不都合が発生する条件を考えていきました。
今回は論理的な障害をメインに考えてきます。

論理的な障害は論理障害と呼ばれ、ファイルシステムの論理的な構造が破綻した状態を示します。
まずは簡単な例といたしまして、FAT32を考えてみます。
※その他のファイルシステムに関しましても、先々で取り上げていきたいと思います。

まず、読み書きの最小単位がセクタです。

そして、まず効率を上げるために、セクタを決まったブロックで区切ります。
例えば4KBで区切った場合、1セクタ512バイトならば8セクタが1ブロックです。
※ハードディスクやSSDなどの一般的な記録装置は、現在1セクタ512バイトです。
そして、このブロックには別にも名前がありまして、クラスタと呼ばれております。
なお、これら重要な初期情報はファイルシステムを読み込む前の段階で、必ず取得できるようになっております。(MBRからBPBへ制御が渡り、この間に読み込まれます)

このクラスタを上手く組み合わせて、ファイルを読み書きいたします。
もちろん、データの実体を表すもの以外にも、それを繋ぐためのものや、
ファイル名などの情報は別に用意されております。

ファイルサイズが大きく、別の空いたクラスタを次々と使う場合は、
その「繋がり方」を必ず記録する必要があり、FATと呼ばれる場所に行います。
FATにはバックアップがありまして、先頭よりFAT1, FAT2と呼ばれております。
※クラスタの数は有限ですので、FAT自体のサイズも有限で済みます。

そして、FAT1, FAT2に読み書き不能セクタが多発した場合、その繋がりが壊れます。
ただし、状態の良い方を常に選択することにより、データ復旧に関しましては利用することができるという訳です。

ただ、これではファイルの中身を記録できても、その位置と名前はどうするか。
それらを記録するのがディレクトリエントリやLNFです。
・・・長くなりそうなので、次回へ持ち越しいたします。

故障予測 パート12 (突然読み込めなくなったHDDを考える3)へ続きます。

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