復旧不定期日誌81, 悪質な事例その1 RAID-5 データ復旧

気になった案件や破損をピックアップして紹介しております。
バックアップの計画などにお役に立てれば幸いです。
また、あまり書き立てることではないのですが、
最近急増の「悪質な事例」を交えて公開いたしております。
と、言いましても手口がみな一緒なので既に知られているとは思います。
データ復旧作業は手作業を含む性質上、どこでも得意・不得意分野が存在いたします。

よって、お電話なので状況を詳しく伺い、そして診断をご依頼いただきまして、
一つ一つ検証を重ねて慎重に結論を出す必要がございます。
すなわち、これを逆手に取る悪質な方法で、以下の例にて把握できると思います。

いつもお世話になっております。
担当の矢野と申します。
この系統の案件は別の者(山口)が担当だったのですが、
本件と同じ流れのサーバ(RAID)は矢野が担当することになりました。
なにとぞよろしくお願いいたします。以下の画像の通り、RAID-5 1500GBのデータサーバです。
500GB 4台により1500GB(RAID-5より1台マイナス)となっております。

フロント部分のカバーを外した状態です。
このカバーを外さないとHDDに到達できないため、

ちょっと保守性が良くないのかな?
RAIDカードより2台からエラーが出たと報告され、
動作が停止する典型的なタイプで、データ復旧会社にて普通に復旧できる症例です。

なぜならば、RAID-5は2台のうち1台を復旧できれば一貫性を再現できますので、
そのぶん復旧チャンスが多いからです。はじめ、別の業者にて復旧をお願いしたところ、
納品されたデータが全く開かないゆえ、弊社にご相談をいただきました。

添付された書類に調査報告書が存在し・・・。

<調査報告書の内容>
RAID-5としては3個中1個が部分的に読み取り遅延エラーが発生し再構築は不可、
そのため拡張子検出にてEPS PSD ind qxdを主体に作業・・(省略)・・3台トータル検出容量500Gを超えました。
<調査報告書の内容終わり>

「3台トータル検出容量」の点が不可解となります。
今回のRAIDは4台揃って1台となりますので、3台という中途半端な台数も気になりますが、
3台別々に拡張子検出を実施したとしても、全て壊れたファイルが生じるだけです。
※ 仮想RAID等であれば、まだ話は繋がるのですが。

なぜならば、4台に分散して読み書きしておりますので、
それを各個体に分けたらデータがバラバラになります。
当然ながら、拡張子検出もバラバラで、全て壊れて検出されます。
さらに、三十数万円を復旧費用として支払ってしまったとの事です。
※ はじめは100万円以上のお見積で、そこから数度の割引によりこの価格になったようです。

そしてデータの整合性は保証できない旨で契約済、つまりデータが全て開かない場合でも、
一度支払ってしまいますと返金は厳しい(きかない)と思います。

このお客さまの場合、実際にサーバを送る前は問い合わせ段階にて「確実に復旧できますのでご安心ください」
との言葉を信用し、このような結果に至っております。

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